週間東洋経済の空室率データが過度にインパクトを与えている

不動産ニュース

概要

先週「週間東洋経済」の特集が「大空室時代が来る!不動産投資サバイバル」だったので気になって買いに行ったのですが本屋でパラパラ内容を見たら違和感しか感じなかったので結局買わずに帰ってきました。

記事の内容

内容は最初に「空室率が上昇している」「破綻している大家さんが急増」という記事があって、その後にかぼちゃの馬車のお話が続く・・・といった内容でした。
かぼちゃの内容は既出ネタばかりだったのですが最初の空室率の記事で多摩地域の空室率が50%を超えているのを筆頭に神奈川県のうち空室率50%近くのエリアが続出しておりさすがにこれは無いだろう・・・と違和感を感じました。

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「週間東洋経済 目次より引用」

よくみると空室率TVIと書いてあったのですがこの指標は知らなかったので調べてみました。

空室率TVIとは?
不動産調査会社タス(東京・中央区)が独自に発表している指標のようです。

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「分析:株式会社タス」

一般的に空室率は全戸数(上記図でいう水色)に対して空室数の割合を示すのが誰もが直感的に感じるものと思います。

ですが、空室率TVIでは入居者を募集している建物の総戸数のみ対象とする(上記図でいう橙のみ)そうです。

具体例

下の図は12世帯アパートが7棟(総数84部屋)の例です。
4棟が満室、2棟が募集中、1棟が経営難等で募集していない状況です。
直感的には84部屋のうち空室が20部屋なので空室率は24%だとほとんどの人は認識すると思います。
ですが空室率TVIでは募集中の2棟のみが調査対象となって24部屋のうち空室が8部屋なので空室率TVIが33%となります。

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この状態で満室のうちの1棟が1件退去した場合、下記のような図になります。
すると3棟が満室、3棟が募集中、1棟が経営難等で募集していない状況です。
空室率TVIでは36部屋のうち空室が9部屋なので空室率TVIが25%となります。
空室が発生したにもかかわらず空室率TVIが下がるというよくわからない状況になってしまうのです。
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そもそも空室率を考える際に満室の物件は除外するという考え方が理解できません。

週間東洋経済の採用データに違和感あり

空室率TVIという指標の考え方自体の理解はしました。
ですがこの指標を週間東洋経済がサラっと特集のメインに使うのには違和感があります。
おそらく週間東洋経済の読者のうち空室率TVIなんて知っている人は1%も居ないのではないでしょうか。
空室率TVIはそもそも満室物件を調査対象から除外している時点で数値が高くでる傾向があるようです。

さらにタスのホームページを見て詳細なデータを確認しましたが首都圏の空室率TVIはどこも20%未満のようです。
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上記のうちアパートとマンションで分けたのが下の図なのですが、アパートの空室率TVIが極端に高くなっています。
アパートが高くなっている理由はわかりませんが、下記のようなことを書いている方も居ました。

「相続税対策での新築アパートが増加している影響もありますが、リーマンショック前のミニバブル期に大量供給されたアパートが立地のよいマンションに入居者を奪われているという面が大きい。経営難等物件データの多さを考えれば、想像以上に市場の状況が悪くなって、仲介手数料や広告料を払えずに苦しんでいるオーナーが増えている可能性があります」

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気になるのが週間東洋経済が空室率として掲載したデータが空室率TVIの図-2にあるアパートのデータと思われます。
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読者に空室率が上がっているということを伝えたいのであれば一般的な空室率のデータを採用すべきですし、空室率TVIを採用するにしてもアパートだけのデータをなぜ全体データのように掲載するのでしょうか?

アパートのデータが極端に数値が高くインパクトがあるので、インパクトがあるデータを掲載したほうが部数が伸びるのは理解できるのですが、これですと多摩地区や神奈川の賃貸住宅は半分くらい空室なのか?と誤解を与えると思います。

空室率が上がっているのは事実でしょうが、私の認識では微増といった感じです。
それを意図的にインパクトのあるデータを採用して過度に不安を煽る記事を書くのは非常に疑問を感じます。

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