概要
一般的に鉄筋コンクリート造の寿命は60年と言われていますが保存状態によってはそれ以上持つかもしれませんし持たないかもしれません。鉄筋コンクリート自体の歴史がそれほど深くないので実際の所、どのくらい持つのかわからないのが実情です。
先週九州旅行へ行った際に軍艦島に上陸してきました。
軍艦島には日本最古の鉄筋高層アパートの建物が取り壊されることなく残っているので現在残っている建物を通じて鉄筋コンクリートの寿命を探りたいと思います。
軍艦島とは
正式名称は「端島」という長崎港南西に位置する島です。2015年ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
海底炭鉱の島で、鉄筋高層アパートが立ち並ぶ概観が軍艦「土佐」に似ていることから通称軍艦島と呼ばれています。
軍艦島の歴史
1810年:島内で石炭が発見される1870年:石炭の開抗が開始される
1890年:三菱が島全体を買収し本格的に開抗が開始される
1916年:日本最初の鉄筋高層アパートが建築される
1960年:島内の人口が5300人となり最多となる※当時の東京都の9倍
1974年:閉山となり無人島となる
軍艦島の生活
日本のエネルギー資源が石炭中心となってから急速に発展して人口も急増したそうです。島自体が1周1キロちょっとしかない小さな島に最盛期で5000人以上の人が生活していたのでものすごく狭い中、生活していたようです。
写真の青丸の建物は65号棟アパートという317世帯が住むアパート(現在でも大規模マンションといっていいと思います)ですが10階建て(エレベータ無し)の屋上に保育園があります。
当初、10階建ての屋上に保育園を造るということで、中々行政からの許可が下りなかったそうです。
ですが行政の担当者が現地を視察した際に島内があまりにも狭いのでここ以外に保育園を造る場所がないことを一瞬で理解してもらえたとのことです。
赤丸の建物は小中学校です。
戦後、日本全体でテレビの普及率が数パーセントの時代に島内ではテレビの普及率は99%だったようです。
ちなみに島内にプールや刑務所・郵便局などもあります。
当時の日本の最高技術で造られた近代アパート・テレビ・洗濯機などの他に、水道・電気などのインフラは海底トンネルを通じて本土から引いていました。これも日本最古です。
生活のメインは石炭採掘で、島内の貯炭場から地下900メートルほどエレベータのようなもので下りて採掘していました。
ちなみにエレベータといってもほぼ落ちるような感じだったそうです。
採掘場の湿度は100%近くで気温も40度台と過酷だったため給料は当時の銀行員の数倍?だったようです。
日本のエネルギー資源が石炭から石油に転換するのにあわせて衰退していき1974年に閉山となりました。
軍艦島の現状
閉山以降は無人島となり特に建物自体を保存処理などしていないので日に日に朽ち果てていっているのが現状です。海に直接面しているので高波の日などは海水が直接建物にかかります。
ガイドの話では「2週間前に案内した時にはここに建物があったけど今は崩れてしまった」などと言っていました。
私が上陸したときも長崎県の職員が建物の状況をチェックしていました。
世界文化遺産に登録されたので何らかの保存する動きがでてくるかもしれません。
写真は30号棟アパートという1916年に作られた日本最古の鉄筋コンクリート造のアパートです。
築99年、7階建て鉄筋コンクリート(エレベータなし)です。
一応倒壊しておりませんが人の住める状態ではありません。
特段解体作業などは行っていないと思いますが、コンクリート造の建物のほとんどが朽ち果てています。
海風にさらされていて、高波の際には海水をまともに被る状況にありながら100年前に建築された建物が残っているので、最新技術で造られた鉄筋コンクリートなら100年くらいなら倒壊せずに残りそうな気がします。
木造なら劣化具合を容易に想像できるのですが鉄筋コンクリートが朽ち果てていく現状を確認することができたのは貴重な体験でした。
軍艦島に興味のある方は是非行ってみることをお勧めしますが世界遺産認定後は島内へ上陸するツアーが大変予約を取りづらい状況になっているのでもし行かれるなら早めに予約することをお勧めします。
コメント
ブログパワーアップしてますね。
カビの原因が気になります。
カビは業者も責任を認めたくないでしょうし、原因が特定できずカビの再発もないようならどうしようもないかもしれません。
他の部屋も異常はなさそうなのでピンポイントでカビが発生しているので何らかの原因はあると思うんですけどね。
> ブログパワーアップしてますね。
> カビの原因が気になります。