記事概要
「東京新聞」より
積水ハウスが地面師に騙された事件で羽毛田正美容疑者(63)ら男女数人を逮捕した。
事件概要
この事件は最近よくニュースになっていてスルーしていましたが、登記絡みの事件のようなので宅建知識と関連しそうだったので調べてみました。
・2017年4月に品川区の土地の売買契約を売主と積水ハウスで行い手付金14億を支払う
・上記売主は「地面師」によるなりすましだった
・同月に所有権仮登記を行ったが提出書類(印鑑証明書・委任状など)は偽造されたものであった
・5月に土地の真の所有者から「売買契約はしていない」と積水ハウスに複数回連絡したが妨害工作と判断して全て無視していた
・6月に土地の決済をして残金49億を支払う
・同月に所有権移転登記(仮登記の本登記)をしたが、法務局が本人確認書類の偽造に気付き、移転登記を却下した。
地面師とは?
所有者や相続人に成り済まして無断で土地を売買し、代金をだまし取る人物や集団。
要は詐欺師ですね。
記事の感想
正直本来の所有者である地主から再三内容証明郵便で指摘されたり直接積水ハウスを訪れたりして訴えていたようで、それにも関らず調査をしないで騙されるのはアホだな~ぐらいの感想しかないです。
今は頭が宅建脳なので宅建目線で何故不正が発覚したのか調べてみました。
仮登記と本登記の必要書類
原則として仮登記も本登記も登記権利者(積水ハウス)と登記義務者(売主)が共同で申請します。
ただし委任状があれば他の人でも申請可能です。
仮登記とは?
直ちに本登記することはできないが、将来本登記できる時期まで待っていると他のものが本登記を得て結果権利取得できない事態を避けるためにする登記を仮押さえしておくようなものです。
仮登記の必要書類
登記する際に提出する申請書以外に下記の書類が必要です。
登記原因証明情報
⇒売買契約書です。積水ハウスと地面師の間で締結した契約書になります。
印鑑証明書
⇒売主の印鑑証明書が必要ですが今回偽造されたようです。
委任状
⇒第三者が代理で申請する場合は委任状が要りますが委任状も偽造されたようです。
本登記の必要書類
上記仮登記で必要となる書類の他に下記のものも必要です。
登記識別情報(権利証)
法務局が偽造に気付いた原因
ニュースの記事をいくつか読んだのですが今回のなりすまし事件が発覚したきっかけは所有権移転の本登記をしようとした際に法務局が本人確認書類の偽造に気付き移転登記を却下したからです。
仮登記時点ではなりすましに気付かず仮登記できたにも関わらず、本登記の際になりすましに気付いたということはおそらく登記識別情報の偽造はできなかったのではないかと思われます。
登記識別情報とは?
現在は不動産を登記すると登記所から「12桁の英数字からなる」登記識別情報という紙が送られてきます。
キャッシュカードの「暗証番号」と同じようなものです。
所有者は不動産を売却したりする際に登記識別情報が必ず必要となります。
登記識別情報自体を盗まれたりしない限りはこの「12桁の英数字」は所有者以外は確認することができないので今回のような地面師も知りうることができません。
従って売買の際に登記識別情報自体は偽造することはできるかもしれないので決済時に積水ハウスは疑うことはなくても「12桁の英数字」がデタラメだと思われるので本登記できずに発覚したのではないかと推測します。
コメント
報道では触れられていませんが、亡くなった本物の所有者
である高齢女性には2名の相続人がいて、その相続人が
積水ハウスに売買契約は無効であると連絡しましたが無視
されたため、法務局に移転登記は無効であると通報。
そこで初めて法務局は書類の偽造に気付いた、というのが
真相です。
子ネコさん
コメントありがとうございます。
兄弟が相続したみたいですね。
発覚した直接のきっかけは法務局に通報したんですね。
どっちにしろ登記識別情報が偽造されたいたら移転登記できないので発覚した気がしますが・・・。
> 報道では触れられていませんが、亡くなった本物の所有者
> である高齢女性には2名の相続人がいて、その相続人が
> 積水ハウスに売買契約は無効であると連絡しましたが無視
> されたため、法務局に移転登記は無効であると通報。
> そこで初めて法務局は書類の偽造に気付いた、というのが
> 真相です。