概要
過去2回に渡って私が所有する「1棟目アパート」の出口戦略と建て替え戦略について記載しました。
最後に一般的な出口戦略に応じた運営について記載します。
木造アパートのステージ
一般的な木造アパートは下記のようなステージを辿ると思います。
①築5~10年
この時期はまだ借入金の大部分が残っていると思います。
この時期に売却すると次の購入者が融資期間20年以上取れる可能性が高いので、キャッシュフローが出るようならそこそこ低利回りでも購入してくれる可能性があるので売りやすいです。
私の知り合いの投資家さんは先日築5年で練馬区に建てたアパートを利回り6.5%で売却しました。新築時は利回り8%程度で建てているでしょうから運営中のインカムゲイン+売却時のキャピタルゲインでおそらくプラスで終わったと思います。
②耐用年数切れ時
築22年時になります。
新築時に比べると家賃はそれなりに下げているでしょうが、金融機関への返済は元利均等の場合は新築時と同じですからキャッシュフローもカツカツなうえ、この年から減価償却費を取れなくなるので運営としては一番苦しい時期です。
築22年を超えた時点で税金の支払いが大幅に増えるので微妙な新築を買うとキャッシュフローがマイナスになるケースが続出すると思います。
従って運営に行きづまり、売却せざるを得ないケースもあると思います。
③融資期間満了時
多くのケースは築25年,30年,35年時かと思います。
金融機関への返済がなくなるので主だった支払いは税金のみとなるのでキャッシュフローはかなり出るようになります。
ただ建物はボロボロですので高額な修繕費に悩まされるケースもあるかと思います。
賃貸運営を続けても旨味がなくなってくるなら更地or古家付土地で売却するか建て替えってことになるかと思います。
木造アパートの運営戦略
さて、上記ステージに応じた運営戦略について記載します。
当初から築浅で売却
あくまで感覚レベルですが新築を建築・購入される投資家さんって最初から①の築5~10年で売却を前提で考えている方が半分くらい居るって思ってます。
新築後10年間が一番美味しい時期ですから、ある程度キャッシュフローを得つつ残債を減らして高値で売り抜けたら投資としては成功ですよね。
最初からそれを狙っているなら建物も大手ハウスメーカーではなくある程度ローコストメーカーで費用を抑えて設備なども中国製などの一見オシャレだけど中身はチープみたいなやつで良いかと思います。
建築時の費用を抑えて運営中も最低限の修繕のみ行う程度で建築・運営中の費用を極力抑えて売却してしまうのも投資として割り切ればアリでしょうね。
ただ、こういった物件を中古で購入した次の投資家さんは苦労すると思います。
運営中に築浅で売却へ転換
建築中は長期保有を目指して物件を購入したが、運営してみたら想定通りに運ばずにやむを得ず①の築5~10年で売却を検討せざるを得ないケースもあると思います。
例えば「新築なのに空室が全然埋まらない」「築浅なのに建物不具合が頻発する」「入居者同士のトラブルに悩まされている」など物件を手放したくなる理由は色々あると思います。
物件を保有してストレスが溜まるようなら思い切って手放すのもアリでしょうね。
物件売却へ舵をきるのでしたらそれ以降は最低限の修繕に留めて少しでもキャッシュを温存するのが良いかと思います。
(数年後に売却するのに数百万円かけて大規模修繕するよりは現状のまま売却したほうがトータルでは手残りは増えるはずです)
物件売却する前にはフリーレントを付けて少し高めの賃料で強引に満室にして売り抜けちゃうのも投資としては一つの手だと思います。
ただ、こういった物件を中古で購入した次の投資家さんは先ほどと同じく苦労すると思います。
耐用年数切れと同時に手放す
これは私が現在考えているケースでもあるのですが、②の築22年程度で売却や建て替えなどで現在のアパート運営を止めるケースです。
例えば「低利回りで買ってしまい減価償却費が取れなくなった後の納税に耐えられない」とか私のように「残債が減った時点で一括返済して建て替えたい」などです。
こういったケースの運営戦略ですが、大規模修繕などは必要最低限に留めてもいいのでは?と思っています。
例えば木造アパートの修繕費で大きいのが定期的にやってくる大規模修繕費です。
大規模修繕でも費用がかかるのが定期的に発生する外壁塗装です。
これをやらないと外壁の被膜が剥がれてきたり劣化が進むので定期的に塗装をする必要があります。
ただ外壁メーカーのニチハのカタログを見るとプラチナコートなどの種類の外壁だと築30年程度までは塗り替え不要と謳っています。
従って耐用年数程度で売却or建て替えを検討している方は外壁塗装は不要でもいいのではないか?と思っています。
ちなみにサイディングの塗り替え自体は不要だったとしてもサイディングの隙間を埋めるコーキングは紫外線で劣化していくので、コーキング自体はやるべきかと思いますが、近い将来売却or取り壊すなら脚立で届く範囲のみDIYでコーキングを打ち直す程度に留めてもいいかもしれません。
(結局費用がかかる一番の理由は足場を組むからですので)
建て替えをするなら、その数年前から賃貸借契約は定期借家賃貸借契約にして立ち退きの手間を軽減するなどの対応も必要かと思います。
そういえば再契約型の定期借家契約って賃借人に訴えられると普通賃貸借契約と見做されるみたいですね。。。
ボロボロになるまで保有
融資期間を超えてボロボロになるまで保有する覚悟で運営されている方は当然修繕計画もしっかりと運営する必要があると思います。
火災保険の水災などのオプションは当然加入すべきでしょうし、大規模修繕も定期的に行わないと思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。
まとめ
私が保有する「1棟目アパート」の出口戦略と建て替え戦略について記載しまして、今回は木造アパートの出口戦略に応じた運営について記載しました。
築浅で売却するって方針をされている場合は過度な修繕費を計上せずに極力キャッシュを温存して売り抜ければ良いかと思います。
(売却時に瑕疵を隠して売るのはNGで最悪損害賠償請求されます)
いわゆるこういう考え方はババ抜きであるので書いておきながら個人的には好きではありません。
ただ、こういった考え方で築浅物件が売りに出されるケースは多々あると思います。
結局何が言いたいのかというと、築浅で売りに出される物件は前のオーナーが手放したくなる理由があるはずですので、それを見極められない場合はババを掴まされる可能性が高いということです。
ですので私は中古アパートを買わずに新築でしか物件を保有していません。
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