概要
最近ニュースで頻繁に取り上げられている東京医科大学の不正入試について思うことを記載します。
個人的にはカボチャニュースは登場人物全員悪人だと思っているのであまり興味がわかず、妻が女医ということもありこちらのほうが興味あります。
不正まとめ
裏口入学発覚
東京医科大学の裏口入学の問題で息子を入学させた文部科学省の前科学技術・学術政策局長の佐野太被告(59)と、仲介役を果たした医療コンサルティング会社の元役員、谷口浩司被告(47)が起訴。
贈賄側として、東京医科大の臼井正彦前理事長(77)と鈴木衛前学長(69)が在宅起訴。
佐野太は文部科学省官房長だった2017年5月東京医科大学から「私立大学研究ブランディング事業」の対象行に選定してほしいとの依頼を受け、その見返りとして今年2月、同大学を受験した息子を合格させてもらったという疑いで逮捕。
昔から裏口入学に関する事件は定期的に出るのでこの時点ではそのうちの一つかと思っていました。
ですがこの後別の問題が噴出してきます。
女性入学者を抑制
東京医科大(東京・新宿)が医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点し、合格者数を抑えていたことが2日、関係者への取材で分かった。一部の男子学生に加点をしたこともあったという。受験者への説明がないまま、遅くとも2010年ごろに入学者の男女数に恣意的な操作が始まっていたとみられる。
多浪と女子は受験で不利というのは医師の間では公然と言われていた問題のようです。
上記の裏口入学の件で調査する過程で明らかになってしまったようです。
関係者による公表
東京医科大では今年の入試の1次試験で、文科省前局長、佐野太被告(59)の息子ら計6人に10~49点を不正に加点。
昨年の入試でも1次で計13人に対し、8~45点を加えていた。
調査委員会の調査結果
東京医科大学の調査委員会によると、佐野前局長の息子は1次試験の実際の得点が226点で、順位は282位でした。
これに10点が不正に加算されて得点は236点、順位も169位となりました。1次試験は451位までが合格しました。
一方、息子の2次試験の結果は301点で、順位は87位でした。
息子には個別に加算された得点はありませんでしたが、ほかの一浪の男子と同じく、20点が加算されました。
さらに、センター試験の利用者などが抜けたこともあり、最終的な順位は74位となりました。
一般入試の募集人員は75人だったため、息子は合格となりました。
佐野太被告の息子の入試状況
上記の話をまとめると佐野太被告の息子の入試状況は下記の通りです。
賄賂の見返りで1次試験を10点加点
こちらに関しては収賄の見返りとして1次試験を10点加点されたようです。
ですが調査結果によると仮に加点されなくても元々282位だったため1次試験は合格していたという説明になります。
一浪の男子で2次試験を20点加点
こちらに関しては個別の優遇はありませんでしたが一浪の男子ということで20点優遇された結果、ギリギリで合格したとのことでした。
優遇点数がなければ合格はしなかったでしょう。
上記事件の背景
今回の事件は全く別の側面の事件が2つ同時に起きています。
一つはお金絡みで不正をはたらいたこと、もう一つは女性医師の問題で不正をはたらいたことになります。
女性医師の問題
女性の入学者を抑制する背景としては女医の数を抑制したいという思いがあるようです。
医師国家試験に合格して大学を卒業した人は研修医となります。
卒業生のうち一定数は入学した大学と同じ大学病院に勤務することとなります。
私の妻もそうですが基本的に大学病院での勤務はブラックです。
医師の絶対数が少ないため体力があり長く勤めてくれる医師が求められます。
現実問題として女医の場合は結婚・出産などの理由で離職する人が多いためどうしても男性医師が優遇されてしまいます。
従って大学側としては男性医師の数を増やしたいため、入学者も男性を優遇したい理由になります。
東京医科大学はどうなるのか
大学のブランドイメージは失墜しましたが日本大学と同様、入学志願者などの数はほとんど影響ないと思います。
昨今の医学部人気は高いので今回の不正が発覚したからといって東京医科大学の卒業生が医師になれなくなるわけではないのでほぼ何も変わらないでしょう。
佐野太被告の息子はどうなるのか
普通に考えれば不正で入学したものは取り消し(退学)になると思います。
ですが今回敢えて点数の内情を公開して「不正がなくても合格していました」と発表したということは個人的には大学側からの退学処分はない気がしました。
焦点は佐野太被告の息子が収賄の不正を知っていたか否かになると思います。
仮に不正を知っていた(悪意)としたら親と同様に逮捕までされることはないでしょうがそれなりの処罰は避けられません。
ですが不正を知らなかった(善意)で且つ1次試験の結果が優遇されていなかった場合でも合格水準に達していたとすれば退学処分をするのはやりすぎという考え方はあると思います。
まあ実際息子のツイートを見ると知っていたとみるのが自然なんですがね。
あとは大学側から退学処分が出ないとしても、これから6年間通い続けられず自主退学をする可能性もあると思います。
日本のジェンダー問題
今回の問題の根本にあるのは医師の問題というよりは日本の働き方の問題となります。
ダボス会議を主催する「世界経済フォーラム」は男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」を毎年発表していますが日本は世界144カ国中114位です。
先進国とは思えないぐらい男女不平等な国です。
女性の場合は総理大臣経験者も居らず、国会議員の女性比率も先進国最下位で、一般企業の女性管理職の割合も極めて低いです。
一般企業に就職しても出産で一度退職してしまったら復職はパートくらいしかないのが実情です。
世界の先進国は男女共働きがほぼスタンダードで出産後の復職も現職と同じポジションで復帰できるのが一般的です。
日本の場合はそういった土壌がないので女医も出産などで一度職場を離れてしまったら戻り先がなくなってしまいます。
今回の東京医科大学については私立ですので女医の数を抑制したければ募集の時点で男性100名女性30名といった形で募集人数を明記していれば特段問題になることはなかったと思います。
ですが根本的に解決する場合は日本全体で女性の社会復帰について見直していかない限りは解決しないと思います。
女医と投資家は相性が良い
このように女性の場合は女医になるのも不利ですし、女医になったあとも不遇な扱いを受けているのが実情になります。
妻は昨日も愚痴を言っていましたが「女医というだけでどうしてもナメられる部分もある」とのことでした。
女医の場合は結婚・独身・離婚がそれぞれ3分の1だそうです。
要するに普通に家庭と仕事を両立できる女医は3分の1しかいないということです。
女医が結婚した場合、配偶者の男性もほとんどの人が医師や会社員などで働いているでしょうから子育てなどできる環境にないでしょう。
私の場合は会社員としてはリタイアしてしまったので家事などはほぼ私が担っていますし子供が産まれても子育てできる環境は整っています。
それでいてちゃんとダブルインカム取れる状況です。
従って女医とリタイアした投資家との結婚は極めて合理的な関係だと思います。
結局なにが言いたいのかというと女医の方が医師を続けたいのなら長期的な視点では国をあげて女性の働き方について見直す必要がありますが、短期的な視点では家事を担ってくれる男性を見つけないと厳しいということです。
コメント
東京医科大学の入試女性差別問題は絶対に許されるべきではありません。
華奢で非力な男性だってたくさんいるし、力強くて豪快な女性だってたくさんいます。
日本には60代、70代、80代で元気に活躍している高齢医師たちがたくさんいます。
力仕事が不得手であることを問題にするなら、そのような高齢医師の存在を全否定することと同じで無礼千万、失礼千万な話です。
力強さよりも知識や経験、技術、思いやりや優しさ、共感力のほうが余程重要なはずです。
morikana様
コメントありがとうございます。
女性医師って特に女性患者からは結構求められたりするらしいので雇用機会は均等にしてほしいですよね。
> 東京医科大学の入試女性差別問題は絶対に許されるべきではありません。
> 華奢で非力な男性だってたくさんいるし、力強くて豪快な女性だってたくさんいます。
> 日本には60代、70代、80代で元気に活躍している高齢医師たちがたくさんいます。
> 力仕事が不得手であることを問題にするなら、そのような高齢医師の存在を全否定することと同じで無礼千万、失礼千万な話です。
> 力強さよりも知識や経験、技術、思いやりや優しさ、共感力のほうが余程重要なはずです。