オートロック解錠機器の設置検討

1棟目アパート運営

物流の2024年問題

物流の2024年問題って知ってますか?

2024年4月からドライバーの年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで、ドライバーの人手不足問題がさらに深刻になるはなしです。

具体的な対応策として宅配ボックスの設置を推奨したりしてるのですが、各種宅配業者も置き配を積極的に進めようとしています。

特にAmazonはデフォルトの配達方法が置き配に指定されているくらい積極的です。

ここで問題になるのがオートロックを配達員が通過できないと置き配が利用できません。

私も2年前にオートロックが置き配の足枷になるとツイートしたことがあります。

オートロック解錠機器について

上記のように配達員がオートロックを解錠できないと置き配が普及しないので、オートロックを解錠できる機器の開発が進んでいます。

オートロックによる解錠システムを簡単に解説しますが、解錠自体はオートロックのメーカーではなく鍵メーカーの範疇になります。

下記構成は私の物件が大体こんな感じなのですが、集合玄関機のシリンダーを回すと解錠信号が電気錠操作盤を通って門扉に設置している本締電気錠に伝わって解錠する流れです。

キースイッチと本締電気錠の実物はこんな感じです。

オートロック解錠機器を上記の解錠信号が流れるいずれかの場所に設置して配達員が操作して解錠信号を本締電気錠に流すことで解錠することが可能となります。

Amazon Key for Business

Amazonは「Amazon Key for Business」という名称でサービスを提供しています。

仕組みとしては配達員が所持している端末から解錠操作をすることでサーバー経由して解錠信号が本締電気錠に流れるといった感じです。

メリットとしては機器設置費用はAmazon負担で月額利用料は完全無料です。オーナー側は電気代(年間1000円程度)の負担で済むようです。

Amazon担当者に何故完全無料で提供しているのか質問したところ「弊社が設置コストを負担してでも再配達のコストを減らしたい」との事でした。

導入条件はオートロック設置物件で、Amazon配送エリア内で、10戸以上の物件となります。

Amazon側としても設置コストを負担する以上、ある程度設置メリットがある物件でないとダメということですね。

破汚損や紛失した際はAmazonが補償してくれるのでオーナー側にトラブルが降りかかってくることもありません。

Amazonのスタンスとしては多少の破汚損紛失コストより再配達コストのほうが高いので多少盗まれてでも導入を推進する形です。このあたりの考え方は外資系企業ならではの合理的発想だと思います。

私の物件は全て10戸以上の物件でAmazon基準を満たしているので導入に向けて動いています。

Pabbit

Pabbitはオートロックメーカーのアイホンが開発した解錠システムです。

オートロックの集合玄関機操作パネルの横に専用端末を設置して、配達員は伝票番号を端末にかざすことで解錠信号が本締電気錠に流れるといった感じです。

「Amazon Key for Business」と異なる点は、開発元が宅配業者ではないので利用できる宅配業者が特に限定されていません。(AmazonはKey for Businessを使うためこちらのシステムは使えない)

現状はヤマト運輸と提携をしたとの事ですが、日本郵便や佐川運輸といった日系の宅配業者にはこれから導入に向けて働きかけると言っていました。

機器設置費用は原則オーナー負担(今は10戸以上のアイホンオートロックの物件には設置費用無料キャンペーン中)で月額利用料は完全無料です。ただ概ね5年ごとに機器の交換費用がかかります。交換時の機器本体の費用は現時点では未定ですが10~15万円程度+設置工事費用がかかるとの事です。

5年ごとに交換が必要となる理由は端末内のSIMカードの期限が切れるからとの事でした。SIMカードくらいはスマホのように簡単に交換できる仕様にすればいいのになって思いますが現状はそうなっていないようです。

設置方法ですがアイホン社が開発しているのでアイホン社のオートロックには大抵付けられるとの事です。オートロックの集合玄関機パネルを一度外して黒いプレートを挟み込んで、その上にPabbit端末を横付けする形になるのでアパートの外壁などに穴を開ける工事などは不要とのことでした。

個人的にはこちらのシステムは正直メリットをあまり感じていないです。コスト面では機器の定期的な交換費用がオーナー負担なのでAmazonに比べて見劣りします。宅配業者の負担を減らすのが主目的のシステムなのに費用がオーナー負担というのが気になります。

あと現時点でこのシステムを利用してくれる宅配業者がどのくらい増えるのか不透明ですし、日系企業は置き配の利用に必ずしも積極的ではありません。

例えば日本郵便では原則指定した置き配バッグ(OKIPPA)を置いてないと置き配してくれず玄関前の地面に置き配といった対応はしてくれません。

こういったバッグを入居者に用意してもらうのも負担が大きいですし、玄関前の共用廊下に置くことは消防法の関係でグレーですし、置き配バッグを置くことで不在であることを不審者にアピールすることになるという致命的な問題があります。

従って日系企業による置き配は現時点では今後もあまり普及しないと思っています。

アイホン社の担当者に質問したのですが「日系企業の場合はどうしても荷物を届けるまでの紛失は宅配業者の責任になるのでAmazonのようなある程度紛失を許容した考え方には中々できない」と言っていました。

ですのでPabbitを導入しても結果的にほとんどの宅配業者に使われないって結果になりそうで導入に躊躇してしまいますがとりあえず5年間無償で使ってみて様子を見るのはアリな気がしますね。

まとめ

今回は2024年の物流の問題への対策としてAmazonとアイホンが開発しているオートロック解錠システムについて記載しました。

個人的には置き配ってあまり好きではないですが、世の中の仕組みは常に変わっていますのでオーナー自身の頭の中もアップデートしていく必要があると思っています。

Amazonのシステムはオーナーにとってメリットが大きいですがアイホンのほうは現時点では不透明だと思っています。

こういった例を一つとっても日系企業が外資系企業に勝てなくなっている理由が垣間見えます。

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