被相続人が亡くなる前に相続放棄はできない

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相続開始は亡くなってから

「デイリースポーツ」より引用

元野球選手でタレントの長嶋一茂(53)が29日、フジテレビ系「ワイドナショー」に出演。父親でプロ野球巨人元監督の長嶋茂雄氏(83)の財産について「放棄してる」と語った。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190929-00000105-dal-ent

上記の通り書かれていますが、相続放棄は、相続開始(または相続開始を知った日)から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対する申立てによって以下3種類のいずれかをおこないます。

単純承認

マイナスの財産を含めてすべての相続財産を引き継ぐこと。

3カ月以内に何もしなければ自動的に単純承認になります

限定承認

負債がある場合、相続財産の中から返済する方法。

相続人全員の合意が必要です。

相続放棄

プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続しないこと。


つまり、相続放棄は必ず被相続人が亡くなった後におこなう手続きなので、被相続人が亡くなる前におこなうことはできないわけですので、長嶋一茂氏が上記のように言っているのは法的な効力は一切ありません。

民法を知っていると意外と役立つ

宅建の勉強って宅建業法とか知っていると多少は不動産の売買や賃貸借に携わる際に役立ちます。

民法などの勉強はとにかく苦手な方が多いですが知っていると日常生活を送るうえで結構役立ちます。

二重譲渡トラブル

2週間前に妻の母親から相談を受けました。

どうも二重譲渡に関するトラブルみたいです。

 
義母

相談があります

 

父(妻の祖父)が所持していた望遠鏡一式を業者に売却する契約をしました。

業者は既に次の方に渡すことになっており、入金も済んでいます。

 

 

ところが望遠鏡の一部を、父が知人に譲ると口約束(文書はない)していたようです。

 

知人は「話が違う」と激怒しています。

話を聞くとどうもこんな感じらしいです。

わかりやすい二重譲渡なんですが、そもそも落ち度があるのは祖父側が業者と知人の両者に譲るとしたところにあります。

ただ祖父も少し認知症が入っているので多少はやむを得ない部分があります。

聞いた話をもとに法的に話を整理するとこんな感じです。

契約は口頭でも有効

民法では契約は口頭でも有効です。

契約書を作るのはあくまで当事者が言った言わないといったトラブルを防ぐためのもので、今回のケースは祖父と知人の両者が譲ると口頭で言ったことは否定してないので口頭契約も有効になります。

制限行為能力者でない契約は有効

祖父は成年後見人といった後見開始の審判は得てないので現時点では通常の成人ですので祖父が行った契約は有効です。

他人物売買も有効

業者は望遠鏡が手に入る前から第三者と売買契約をしているっぽいですが、民法では他人物売買も有効です。

二重譲渡の場合、登記若しくは引き渡しが必要

二重譲渡の場合、契約日の前後は関係ありません。

今回のケースにおいては業者も知人も被害者という立場では同じです。

こういったケースの場合、不動産の場合は先に登記したほうが勝ち、動産(望遠鏡)の場合は先に引き渡しを受けたほうが勝ちます。

従って業者がお金を振り込んでいても引き渡しを受けていない状態ではどちらが有利という状況ではありません。

回答

ヨッシー
ヨッシー

かくかくしかじかで先に引き渡しをしたほうが勝ちます。

ヨッシー
ヨッシー

業者も知人も被害者なのは変わらないので「高齢で記憶力も判断力も落ちていたため二重で契約してしまいました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」とどちらかに納得してもらうしかないと思います。

最終的な結果

 

結局、業者の方に折れてもらい望遠鏡の一部は知人に譲ることになりました。

といった感じになったみたいです。

 

普通に生活していても法律トラブルに巻き込まれるケースはあるので、最低限の民法を知っているだけで冷静な判断ができるようになるので宅建の勉強も役立つこともあるといった話でした。

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