概要
複数法人を作るメリットについて記載します。最初に言っておきますがいわゆる一物件一法人のスキームを勧めるものではありません。
先に結論を記載すると節税になるということです。
法人と個人の実効税率
最初に法人と個人の実効税率について触れておきます。実効税率とは所得に対する実質的な税金の負担率のことをいいます。
個人の場合
所得税、住民税の合計になります。法人の場合
法人税、住民税、事業税の合計になります。下記表を見れば明らかですが所得が少ない場合は個人のほうが税率は低いですが所得が上がるにつれて法人のほうが税率は下がります。
今後も法人の税率は抑えて個人の税率を上げる流れは続くといわれています。
複数法人を作ることで節税
昨日もブログで書きましたが私が所有する法人1に関して決算内容が確定しまして経常利益は約643万円でした。私が所有する法人2に関しても今後の経常利益は同じ程度見込めるため、2つの法人の経常利益は約1300万円程度となります。
仮に個人で不動産を買い進めて所得1300万円となった場合の実効税率は35.5%になりますので4,615,000円もかかってしまいます。
それに対して経常利益が1300万円の法人の実効税率は29.4%ですので法人税等の支払いは3,822,000円になるため法人化するだけで税金は80万円ほど安くなります。
更に私の場合は法人を分けているため経常利益が650万円の法人が2つです。
その場合、経常利益が650万円の法人の実効税率は24.4%ですので法人税等の支払いは
1,586,000円 × 2 =3,172,000円になります。
結果として個人より税金は144万円ほど安くなります。
※ちなみに妻の昨年の年収が1200万円で所得が985万円でした。
従って実効税率は29.7%になりますので所得税・住民税のトータル支払いは2,925,450円になります。
結果的に経常利益650万円の法人2つと、所得985万円の個人で支払う税金に大きな差が生じないということになります。
複数法人のデメリット
赤字でも均等割り7万円が発生
通常法人で物件を購入して運営を続ける限りにおいてはよっぽど節税をしない限りは赤字になることはないと思いますが、真っ当に賃貸運営を続けている人は私と同じくらいの経常利益は発生すると思いますので気にしなくていいと思います。
※法人住民税の均等割りは法人の実効税率に含まれています。
決算申告の手間・費用が発生
法人ごとに決算申告をする必要があるので手間はかかります。
税理士に依頼すると1社あたり20万円程度かかります。
私のように自分で申告する形にすれば手間だけで済みます。
一物件一法人スキームに該当するリスク
物件を購入するごとに法人を設立することはいわゆる一物件一法人スキームとなり色々と問題があります。
新規法人を設立して融資を受ける際に、既に所有している法人の融資額を隠して買い進めることで多額の融資を引き出すというものですが、金融機関にバレたときに「期限の利益喪失」に該当して一括返済を求められる可能性があります。
ですので新規法人を設立して融資を受ける際には既に所有している法人の財務状況を全て開示する必要があります。
私が2棟目アパートの融資を受ける際は全ての情報を開示したうえで、個人でも既存法人でも新規法人でも融資を出すと回答を頂いたので新規法人で融資を受けた形になります。
法人の実績が積めない
いわゆるプロパー融資をひくためには法人の実績を積む必要があります。
そのためには1つの法人で物件を買い進めていったほうが当然実績としてはつみあがることになります。
結論
従って複数法人を作ったほうがいい人は下記となります。物件購入時に消費税還付を受けたい人
節税したい人
決算申告も含めて自分で行える人
過度にプロパー融資を受けたいと思っていない人
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